翌日からの基礎練習で、主人公は土の前で何度も息を詰まらせた。手の中にあるはずの重みが、少し力を入れただけで形を変え、思った通りに応えてくれない。ろくろの上では中心を取ったつもりでも、回し始めるとすぐに輪郭が揺れ、薄くしたい場所はへたり、残したい場所は逆に膨らんだ。指先に伝わる感触を頼りに修正しようとしても、土は気まぐれな生き物のように別の方向へ逃げていく。 隣で作業していた先輩は、主人公の器を一目見て、ため息まじりに言った。そんな力で土を押さえ込んでも無駄だ。土の機嫌を見ろ。形を命令するんじゃなく、流れを拾え。その声は冷たかったが、言い返せないほど的確だった。主人公は唇を噛み、崩れた土を台に戻した。悔しさで頬が熱くなる。けれど、何が足りないのかを隠されるより、むしろ救われた気がした。 午後、先生は焼き上がった見本を並べながら、重さの残し方や底の安定について短く説明した。主人公は必死に聞き、失敗した器を回しながら、どこで力が入りすぎたのかを確かめた。縁を引くときに指先が迷う。中心を出そうと急ぎすぎて、土の呼吸を乱していたのだとようやく分かる。次に作った器は、まだ歪んでいた。それでも最初のようにすぐ倒れはしなかった。 夕方、乾かしていた一つが陽の傾きに照らされ、前よりまっすぐ立っているのが見えた。完璧ではない。けれど、主人公はその小さな変化に目を奪われた。先輩は横目でそれを見て、今度は短く頷いた。やっと土が見え始めたな。その一言に、悔しさの奥で何かが静かにほどける。勝ちたい気持ちはまだ大きい。それでも今は、負けたまま終わる自分の癖を、一つずつ削り落としていくしかない。主人公は濡れた手を拭い、次の土塊をそっと抱えた。
土から生まれる器
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