chapalette Logo

果てを探す子ども

小説ID: cmnl8pero000q01o24at2iry9

4 / 10

翌日の昼休み、ぼくが机の上に地図と持ち物の山を広げていると、真一が目を輝かせて寄ってきた。世界の果て発見計画、まだ続いているのかと聞かれて、ぼくはもちろんだと胸を張った。すると真一は、面白そうだな、俺も手伝うと言った。ぼくは飛び上がりそうになった。仲間ができた。これはもう、出発したも同然だった。 だが、真一の手伝いは少しだけずれていた。方位磁石が必要だと伝えると、彼は理科室から大きな磁石の模型を持ってきた。針はくるくる回るが、机に貼りついて動かない。記録帳がいると言えば、真一は作文帳を出した。そこには見出しが大きく書かれ、今日の感想までついている。ぼくの旅は感想文ではないのに、それでも真一は自信満々だった。 さらに彼は、世界の端まで行くなら静かに進むより、旗を立てたほうがいいと言って、給食の紙ナプキンに赤い線を引いた。ぼくはそれを見て、なるほどと感心した。たしかに旗は必要かもしれない。なにせ果てなのだ。派手なくらいでちょうどいい。真一は勢いよく案を出し、ぼくはどれも本物らしく思えてしまった。 放課後、二人で校庭の隅に集まると、そこへ光太までついてきた。熊のぬいぐるみを抱え、これが案内係だと言う。ぼくは笑いながら、それなら心強いと答えた。すると真一は、じゃあ自転車もいるなと口にした。ぼくは自転車を持っていなかったが、そんなことは気にならなかった。仲間が増えるたび、計画は大きくなっていく。大きくなれば、世界の果てにも近づける気がした。 そのとき、真一はふと思い出したように、先生に地図のことを聞いてみたらどうだと言った。ぼくは一瞬、迷った。先生に言えば、きっとまた難しい説明が返ってくる。けれど、真一が横でうなずいているのを見ると、心がふくらんだ。ひとりで考えていたときより、ずっと楽しかった。ぼくは地図の赤い印を指でなぞりながら、みんなで行けば何か見つかるかもしれないと思った。 まだ何も始まっていないのに、ぼくたちの周りだけはもう冒険みたいだった。校庭の風がノートの端をめくり、赤い線が少し曲がった。ぼくはそれを直そうとして、逆にもっと大きな丸を描いてしまった。その丸の中に、真一と光太と、そしてぼくの知らない次の一歩が、すっぽり入っている気がした。